「叱っても育たない」はなぜ起きるのか ― 指導と感情の違い


はじめに

「最近の若手は注意しても変わらない」
この声を管理職や指導担当者から多く聞きます。

しかし実際には、若手が指摘を理解していないのではなく、指導が行動につながっていない場合があります。

その原因は、指導と感情が混ざっていることにあります。

 

指導の目的

指導の目的は、行動を改善することです。
一方で叱責は、感情の表出になりやすい行為です。

例えば
「どうしてできないの?」
「前にも言ったよね」

これらは注意に見えて、相手には評価として届きます。
評価を受けた側は、改善方法ではなく自己防衛を考えるようになります。

 

行動が変わらない理由

人は不安状態では学習できません。
叱責を受けた直後、本人の意識は次に向かいます。

・責められない方法を探す
・関わらないようにする
・報告を避ける

つまり指導は行われていても、学習が起きていません。

 

指導に必要なのは具体性

行動を変えるためには、評価ではなく情報が必要です。

例:
「態度が悪い」ではなく
「報告のとき、結論を先に伝えると伝わりやすい」

「やる気がない」ではなく
「作業開始前に確認するとミスが減る」

改善点が具体化されると、本人は初めて行動を選択できます。

 

フィードバックのポイント

効果的な指導には3つの要素があります。

・Action(具体的行動)

・Impact(その行動の影響)

・Desire/Different plan(今後の期待・改善案)

これは、学習を成立させるための条件です。

 

おわりに

叱ること自体が問題なのではありません。
感情を伝えることが、指導の代わりになってしまうことが問題です。

指導とは、相手を評価することではなく、行動を選べるようにする支援です。
この視点が、育成の結果を大きく変えていきます。

 

 

【参考資料】

・Edmondson, A. C. (1999). Psychological Safety and Learning Behavior in Work Teams. Administrative Science Quarterly, 44(2), 350-383.

・Mayer, R. E. (2001). Multimedia Learning. Cambridge University Press. 

・Dweck, C. S. (2006). Mindset: The New Psychology of Success. Random House.

 

●この記事の執筆者

ビジネスマナー講師 宮内優衣

(学習科学に基づく研修設計・人材育成研修デザイン)

企業向け新入社員研修・ビジネスマナー研修・若手社員フォローアップ研修を実施しています。

研修設計に関するご相談も承っております。

 

投稿日:2026年2月21日